AIと占い

AIに命式を読ませたら「警察官向き」。本人は理容室を営んでいた

監修:青禾(三才堂 鑑定師)

10:21
この記事の内容は、動画(10:21)でもお話ししています。

1983年10月生まれの男性の命式(めいしき)を、AIに読ませてみました。

返ってきた答えはこうです。大学を出て、公務員のような公的な職場で中間管理職に就いている。向いているのは警察や司法の仕事。2021年からの10年で、地位も収入もさらに上がる。

理由も添えてありました。偏官(へんかん)という星が強く、日柱(にっちゅう)が魁罡(かいごう)なので、規律と権限のある組織が合う。四柱推命の本に書いてあるとおりの理屈です。

この男性は、中学を出て肥料工場で働き、2005年からは理容室を営んでいます。学歴も、働き方も、業界も外れていました。

19人で確かめると、合っていたのは約4割

この男性は、三才堂が2026年10月に行った実験の一人です。公開されている鑑定例のうち、学歴・仕事・結婚・お金の流れといった本人の経歴がわかる19人分を使い、86の項目でAIの読みと照らし合わせました。AIは性能の高いモデルを使い、時間をかけて考えさせています。

正しい命式を渡して読ませると、経歴と合っていたのは86項目のうち約4割でした。分野で分けると、差がはっきり出ます。

分野 経歴と合っていた割合
ある時期にお金の流れが良かったか悪かったか 6割台〜7割台
最終学歴 4割台
どの業界で働いているか 2割前後

「この時期は苦しい」「この時期は上向く」といった大まかな流れは合いやすく、学歴や業界のように答えが一つに決まる話ほど外れやすい。冒頭の男性も、外れたのはまさにこちらの側でした。

命式の計算そのものも試しています。生年月日と性別だけを渡して計算から任せると、19人中17人は正しく出せました。残る2人は、生まれた地域でその年に使われていた夏時間の1時間を、AIが自分の判断で差し引いたため、時柱(じちゅう)が一つ前の時間帯のものに変わっていました。

人数が少ないので、この結果には上下10ポイントほどの幅があります。無料のチャットAIで同じことをした場合は確かめていません。

それでも「当たっている」と言われる

中国では2025年の春、DeepSeek(ディープシーク)というAIで四柱推命を占うのが大流行しました。ある記事のコメント欄では、「DeepSeekに占ってもらったら、晩年は福にも財にも恵まれると出た。信じます」という書き込みに400を超える「いいね」がついていました。

経歴は4割しか合わないのに、読んだ人は当たっていると感じる。このずれには、はっきりした理由があります。

誰にでも当てはまる言葉

1949年、アメリカの心理学者バートラム・フォアは、大学の授業で39人の学生に性格テストを受けてもらいました。1週間後、一人ひとりに「あなたの診断結果」を渡します。中身は全員同じで、占星術の本から抜き出した13の文章でした。

学生たちは、自分にどれだけ当てはまるかを0〜5点で答え、平均は4.26点でした。誰にでも当てはまる説明を自分だけのことだと受け取ってしまう、この心の働きは「バーナム効果」と呼ばれています。

AIの鑑定文には、こうした文が多く混ざります。

人前では明るくふるまうが、本当は細かいことを気にして、一人で抱え込むところがある。

これに日干(にっかん)や通変星(つうへんせい)といった専門用語が付くと、自分のために書かれた文章に見えてきます。性格の話は当たっていると感じやすく、冒頭の男性のように学歴や仕事を聞くと外れる。そうなるのは、この構造のためです。

聞き手が喜ぶ方向に寄っていく

もう一つは、AIそのものの性質です。

ChatGPTを開発するOpenAIは、2025年4月に公開したGPT-4oの更新を、利用者に迎合しすぎるとして数日で取り消しました。後日の説明では、利用者の「いいね」のような反応を重く見すぎたことを原因の一つに挙げています。

占いでも、気に入らない答えが出たら聞き直せます。言い方を変えれば、別の答えが返ってくることもあります。納得するまで聞き続ければ、手元に残るのは当然「当たっている」答えです。「晩年は福にも財にも恵まれる」と言われた人が信じたくなるのも、無理はありません。

AIが最後に、運気を上げる色や石、ブレスレットを勧めてくることがあるのも、同じ流れの中にあります。中国では、AIに言われて天然石を買う人が相次ぎ、それ自体がニュースになりました。

AIで占うなら

AIは、言葉の意味を調べたり、考えを整理したりするには便利です。占いに使うなら、次のことだけは気をつけてください。

  • 命式は計算専用のツールで出してから渡す。 先の2人のように、AIは出生時刻の扱いを勝手に変えることがあります。三才堂の命式を出すも、AIではなく決まった規則どおりに動くプログラムで計算しています。
  • 未来を聞く前に、自分の過去を伝える。 進学、就職、結婚、引っ越しなど、大きな出来事とその年を先に伝えておけば、それと食い違う読み方は外せます。鑑定師も、出生時刻があいまいなときは、過去の出来事からさかのぼって確かめることがよくあります。
  • 石やグッズを勧められても、すぐには買わない。 何かを買わないと運が悪くなる、という話ではありません。

出生時刻がはっきりしないとき、転職や結婚のような大きな決断を控えているとき、AIに言われた悪い結果が頭から離れないときは、一度人に相談してみてください。人の鑑定は、あなたの話を聞いてから読めます。どの読み方でそう判断したのかを、言葉で説明してもらうこともできます。

よくある質問

Q. AIの占いは当たりますか?

三才堂で19人分を確かめたところ、経歴と合っていたのは約4割でした。お金の流れの良し悪しのような大まかな話は合いやすく、学歴や業界のような具体的な話は外れやすい結果です。

Q. ChatGPTで四柱推命の命式は出せますか?

多くの場合は出せますが、計算を間違えたり、出生時刻の扱いを勝手に変えたりすることがあります。命式は計算ツールで出してから渡すほうが確実です。

参考

  • Forer, B. R. (1949). The fallacy of personal validation: A classroom demonstration of gullibility. Journal of Abnormal and Social Psychology, 44(1), 118–123.
  • OpenAI「Expanding on what we missed with sycophancy」(2025年5月2日)
  • 三才堂「AI読み比べ実験」(2026年10月・社内記録)

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